薬剤師の忙しい業務と並行してがん化学療法を学べるサイト

副作用のケアも大切

日本人の2人に1人ががんを発症するなか、医療現場では抗がん剤について高度な専門知識を持った薬剤師の重要性が高まってきています。

しかし、がんの化学療法は毎年のように情報が更新され、最新のエビデンスをアップデートしていくことは大変です。

また講義の受講に加えて、自分で情報のアップデートに努める場合には、論文の読解力は勿論、統計学的に関する知識、参考資料が英語の場合には当然、英語力も必要となります。

こうした知識を習得するための学習法はさまざまですが、薬剤師としての忙しい業務を考慮に入れた場合、日本がん治療学会日本臨床腫瘍学会のサイトから閲覧可能(会員登録が必要)な「eラーニング」や「教育セミナー」、自治医科大学図書館のサイトで閲覧できる「ビデオオンデマンド・サービス」を利用するのがオススメです。

オンラインセミナーや研修などは、実際の講義などと違いお住まいの地域を選びませんし、平日・土日祝日といった時間的な制約を受けることがないため、ご自身の都合のよいときに自分のペースで勉強できるのが最大の利点です。

米国では米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州では欧州臨床腫瘍学会(ESMO)が、がん薬物療法教育の担い手となっていますが、日本では「がん薬物療法専門医」の認定を行っている日本臨床腫瘍学会(JSMO)が教育セミナーやテキストを通じて、がん治療の標準化を担っています。

自治医科大学図書館のビデオオンデマンド・サービスでは、「がんプロフェッショナル養成プラン」の臨床腫瘍学講義をはじめ、非常に価値の高いコンテンツをインターネット放送の形で閲覧することができます。各種がんにおける日本の著名なオンコロジストが講演しており、非常に勉強になります。

がん化学療法の服薬指導は、各薬剤の副作用を丸暗記して患者さんに説明するだけでは不十分です。インターネット上には数ある病気の情報が存在していますが、治療の選択肢が多いがんについての情報は特に多く、患者さんが自分で調べたほかの治療法について薬剤師に質問するケースが多々あります。

したがって、各薬剤の副作用を勉強するだけでなく、がん化学療法レジメンの詳細な内容や、エビデンスとしての位置づけはどうなっているのか、また現在どのような治療法の臨床試験が進行中なのかなど、幅広い知識を身につけていく必要があるでしょう。

また臨床の現場では、多くの患者さんが民間療法をはじめとするがんの補完代替医療について薬剤師の意見を聞きたいと考えています。薬剤師は代替医療の位置づけを「がんの補完代替医療ガイドブック」などで十分に理解しておくことも必要であると思われます。

今更訊けない!? 抗がん剤の種類と作用機序

抗がん剤の専門薬剤師

化学療法は、体内に点在するがん細胞を「抗がん剤」で攻撃して死滅させる治療法です。抗がん剤治療を行ううえで問題となるのは、対象とするがん細胞だけでなく正常な細胞にも作用してしまうことです。

そのため副作用による脱毛、吐き気、貧血、下痢、骨髄抑制などの不快な症状が現れますが、正常な細胞はがん細胞に比べて抵抗力が高いため、化学療法終了後に回復が可能です。

乳がんの抗がん剤治療を例に挙げると、乳房以外にがんの転移が疑われる場合に実施するのが一般的です。転移したがんが小さければ抗がん剤のみの治療でも完治が可能です。がんの病巣が大きいほど完治は確率は低くなるため、初回の治療が重要となります。

がんの転移の可能性が低くても、ホルモン療法の治療効果が低いと予測される場合や再発・進行しやすいがんの場合には、最初から抗がん剤による治療が実施されることもあります。

抗がん剤は、がん細胞に作用する機序によって、次の4つに大別されます。①がん細胞のDNA合成を阻害する「代謝拮抗剤:フルオロウラシル、ティーエスワン、メトトレキサートほか」、②がん細胞のDNAの構造を変化させ、死滅させる「アルキル化剤(シクロホスファイド、チオテパ)」、がん細胞のDNAと結合し、DNA合成を阻害する「アントラサイクリン系薬(アドリアマイシン、エピルビシン、マイトマイシンCほか)」、④がん細胞の細胞分裂を妨げる「タキサン系薬剤(ドセタキセル、パクリタキセルほか)」…となっており、がん細胞を攻撃する方法にそれぞれの特徴があります。

抗がん剤は1種類のみを大量投与すると、吐き気・嘔吐、下痢、白血球減少、脱毛の副作用が強く発現することがあります。そこで再発予防を目的とする化学療法では、がん細胞への作用機序が異なる複数の抗がん剤を組み合わせて投与するのが原則です。これを「多剤併用療法」といいます。

多剤併用量の名称は、組み合わせる薬剤の頭文字をとって命名されます。例えば、アドリアマイシンとシクロホスファミドの組み合わせは「AC療法」、エピルビシンとシクロホスファミドの組み合わせは「EC療法」と表されます。

化学療法は、抗がん剤を投与してから3~4週間おいて次の投与を実施します。1回の治療(投薬と休薬期間)を「1クール」といい、再発予防の治療では薬の種類にあわせて3~8クールにわたって治療を行います。

傷ついた正常な細胞は休薬期間中に回復しますが、がん細胞は十分に修復されません。そこで次のクールの治療を開始することで、がん細胞を死滅させていくのです。

近年は、正常な細胞は傷つけず、がん細胞だけを狙い撃ちして作用する「分子標的療法」が注目されています。分子標的療法は、誰にでも効果があるわけではなく、例えば乳がんの場合、がん細胞表面にHER2というタンパク質を多く持っている患者さん(乳がんの20~30%に見られる)に限定されます。

分子標的薬には、ゲフィチニブ(イレッサ)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ベバシズマブ(アバスチン)、イマチニブ(グリベック)などがあります。単独投与のほか、より高い効果を目的として他の抗がん剤を併用することもあります。

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