外資系企業の進出で成長が著しいCRO(開発業務支援機関)

製薬企業は臨床開発に必要な時間とコストを圧縮できれば、新薬の上市後の高収益を見込めます。そこでアウトソーシングの一環として、製薬企業から治験関連業務の一部あるいは全部を請け負うのが、CRO(開発業務支援機関)です。

外注化率の高い外資系の製薬会社の日本進出の影響もあり、1990年代後半から急速に成長してきました。現在でも医療用医薬品の第Ⅲ相試験、製造販売後調査(PMS)、第Ⅱ相試験のモニタリング業務を中心に、高い成長率を維持しています。

具体的な業務内容は、まず治験を実施する医療機関と治験責任医師を選定して、計画・責任分野・作業分担・スケジュール・被験薬のデータ・契約条件の確認と合意を行います。

そして治験実施計画書(プロトコル)、GCP(臨床試験の実施基準)、SOP(標準作業書)に基づいて治験が行なわれているか、医師が各プロセスをチェックしているかを定期的に確認します。これをモニタリング業務といいます。

治験が終了すると、業務の終了を医師に伝え、治験記録と保存状態を最終確認し、実施医療機関の長に終了通知を提出するように依頼します。集められたデータは、集計・解析され、それに基づいて承認申請資料が作成されます。

CROの業務には高い専門性が求められるものが多く、なかでも上記の「モニタリング業務」は治験を円滑に行ううえで最も重要とされており、業務全体の半分近くを占めています。

次に多いのが、治験薬の効果を統計的に検証する「統計解析」、治験で回収した症例報告書(CRF)を電子データ化するためのデータ入力・システム構築のほか、記載事項に誤りがあった場合に治験依頼者への伝達を行う「データマネジメント(DM)」が、それぞれ4分の1を占めています。

薬剤師の専門的な知識やコミュニケーション能力は、治験に関するさまざまな業務で高く評価される傾向にあり、CROは薬剤師にとって人気の転職先となっています。

主要なCROには三共でメバロチン(国内での売上額が初めて1000億円を超えた大ヒット医薬品)の開発リーダーを務めた中村和男氏が立ち上げたシミック、世界50国でCRO・CSOのサービスを展開する外資系のクインタイルズ・トラディショナル・ジャパン、日本初のCROとなった新日本科学などががあります。

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