長期投与で副作用発現の恐れがある際に有効な分割調剤

2002年、外来患者の薬剤投与期間に関する規則が原則廃止され、薬価基準収載後1年以内の医薬品等を除き、内服薬、外用薬友に投与日数の上限が廃止されました。

これにより医師の判断によって投与期間を設定することができるようになったことにくわえ、高齢者の増加に比例して慢性疾患の患者さんが増加し、長期間同じ薬を服用する傾向が高まったこともあり、処方箋に記載される投与日数は長期化の傾向を見せています。極端な例だと、半年は勿論、1年間という処方箋も出るようになりました。

投与日数が長くなると、薬を受け取るだけのために診察に来る患者さんが減るため、医療機関の混雑緩和をはじめ、再診回数の減少による医療費や通院負担の軽減につながるというメリットがあります。

一方、投与日数の長期化は、服用期間中の副作用発現、容態の変化、保管状況の悪化、ノンコンプライアンス(服用忘れや間違い)など、患者さんの薬物治療上の問題も生じさせます。

そこで注目されるようになったのが「分割調剤」という手法です。これは医薬品の保管、服用上の問題、副作用発現の恐れ、医薬品が不安定などの問題が生じそうな場合に、例えば90日分の処方箋であれば、30日ごとに3回に分けて患者さんに渡すという方法です。

分割調剤を行う場合は、処方医に照会して了解を得る必要があります。そして処方箋の裏に調剤年月日や調剤日数、薬局名、薬剤氏名を記入して、患者さんに返還します。また、レセプトにもそのことを記入する必要があります。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を促進する一環として、後発品を調剤してもらう際に、お試し的に分割調剤を行うことも可能です。もし、後発品で不都合があった場合には、処方箋記載どおりに戻します。

一方、アメリカには「リフィル処方箋」という制度があります。これは患者さんが処方箋に記載された使用回数内で何回でも反復使用できる処方箋のことです。

例えば、1か月分の処方であれば、初回来局時に1か月分の薬を調剤し、患者さんに処方箋を返却し、患者さんは次回同じ処方箋を薬局に持っていき、再び1か月分の薬を詰め替え(リフィル)してもらうのです。

この制度では、長期投薬であっても薬剤師が定期的に薬物療法の経過を観察し、副作用の発現をチェックすることが前提となります。処方箋を書いた後も薬物治療の監視を薬剤師に任せることができるからこそ、医師も安心して長期投与ができるのです。

投与日数を分割する「分割調剤」に対して、「リフィル処方箋」は処方箋を反復使用する点で大きな違いがあります。

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