高齢者社会の進行とともに重要性が増す在宅医療での業務

高齢化社会が進行するなか、「在宅で適切な医療が行われれば、入院の長期化が抑制でき、国の医療費削減に繋がる」という経済的な側面と、「長期療養が必要な患者さんは、住み慣れた自宅で安心して療養生活を送ることができる」という医療の質の側面から、在宅医療の重要性は年々高まっています。

在宅医療の進展に伴い、薬剤師が患者さんの居宅を訪問して薬剤の管理や指導を行うことが重要な業務となっており、在宅医療専門の調剤薬局も増えてきており、この分野で活躍する薬剤師のニーズは高まっています。

調剤薬局の薬剤師が在宅医療で期待される点としては、まず患者さんの医薬品の適正使用のために、飲み残しの管理、剤形の工夫や一包化で服用状況を改善したり、保管状況の指導を行うことです。在宅には主治医や看護師が訪問しますが、服用薬の不具合については薬剤師でなければ把握できないことも少なくないため、副作用の確認も重要です。

高齢者は複数の疾患を抱えていることも多く、数種類の医薬品が処方されているケースも珍しくはありません。決められた用量・回数を守って服用せずに、自己判断で調節したり、飲み忘れなどをした結果、服用されることなく放置されている残置薬が問題となっています。

というのも、使用されない残置薬の総額は約500億円分にも上る(日本薬剤師会の調査より)からです。薬剤師が在宅医療に携わり、医薬品を整理することで400億円の薬剤費の節減につながることが報告されています。実際には「在宅の飲み残しはその10倍はある」という専門家の声もあります。

薬剤師が在宅訪問活動を行うためには、処方箋発行医からの指示が必要です。そのため、調剤薬局の在宅医療の取り組みは、医師や歯科医師からの指示によるものが80%以上を占めています。訪問後には、薬剤服用歴を記載し、処方箋発行医に報告書を作成して送付します。次の訪問時に必要な物品、情報の準備を行い、申し送り会などに参加します。

在宅医療で薬剤師の知識とスキルを活かしたいとご希望の場合、薬物療法全般にわたる臨床判断が求められるとともに、患者さんは勿論、ご家族や他の医療職(医師や看護師)との円滑なコミュニケーションも不可欠となります。

特に、薬局窓口での服薬指導は、基本的に「薬剤師のテリトリー内」ですが、在宅の場合「患者のテリトリー内」であるという大きな違いを理解したうえで、「お邪魔してもいいですか?」「お薬はこの場所に置かせてもらっていいですか?」など、相手の立場に考慮した会話を身につけることが求められます。

患者の服用状況が悪い原因を探って改善策を提案したり、患者の症状やADL、そしてQOLにつながる医薬品の影響について評価することは薬剤師以外にできないため、在宅医療の仕事はやりがいのあるお仕事ですが、「調剤報酬が低い」「効率が悪い」などの理由で、患者の居宅ではなく、施設に訪問の重点を置く薬局が少なくありません。

この分野への転職をお考えの方は、その薬局に在宅訪問の実績がどれくらいあるのか、薬剤師として自分が目指す在宅医療が実現できるのかをしっかり確認しておきましょう。

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