後発医薬品の登場などで調剤業務はやや増加傾向に

処方箋の受付から薬歴の照合、疑義照会、服薬指導、調剤、そして会計までの一連の流れを調剤業務といいますが、近年は服薬指導や患者インタビューに要する時間だけでなく、ジェネリック医薬品が普及するに比例してそれに関する質問も増えてきたたため、薬剤師が行う調剤業務は若干増加傾向にあります。

処方箋監査
処方箋に記載された保険者番号、氏名、生年月日、区分、医療機関名、医師名などに記載漏れがないかを確認したうえで、処方内容(医薬品名、用法・用量、服用方法等)が性格かどうかを確認します。なお、処方箋の有効期間は4日間(発効日を含める)となっています。

薬歴・お薬手帳との照合
患者さんのこれまでの服薬プロフィールである薬歴やお薬手帳との照合を行い、重複投薬、過量投与、相互作用等の恐れがないかどうかをチェックします。これらは処方箋を受け付け後、調剤行為に入る前に行うことになっています。

疑義照会
これまでの確認作業で処方箋の形式的不備(記載漏れなど)や処方内容と患者さんの状況をみて不都合がある場合には、医師に疑義照会を行います。その際には、処方内容の変更を予測して、あらかじめ添付文書等で用量や適応、代替薬などを調べておくことが必要です。

後発医薬品の希望の有無
後発医薬品の使用が可能な場合、患者さんに希望の有無を聞きます。

服薬指導
これらの作業が終わってから、医薬品名、服用上の注意、保管上の注意などを説明する服薬指導が行われます。

調製(調剤)
記載された処方内容をレセコン(レセプトコンピュータ)に入力して、医薬品を取り揃えて調製します。医薬品の取り違えに注意します。

調剤監査
取り揃えたい薬品が処方通りとなっているかどうか、調製した薬剤師とは別の薬剤師が確認を行います。

薬袋印字
薬袋は処方箋に記載された用法・用量、服用回数などを、患者さんが正しく服用するための基本的な情報を記載したものです。印字間違いがないよう注意が必要です。

医薬品の受け渡し、会計
医薬品を渡す際には、「○×さんのお薬です」と名前を呼んで本人であることを確認し、医薬品ごとに名称や服薬上の注意を伝えます。

2010年、埼玉県で薬剤師による誤調剤(分包機へのセットミス、調剤後の監査不備、ミスに気付いた後も放置)で患者が死亡し、担当した薬剤師が業務上過失致死で書類送検される事件をはじめ、2000年代には数多くの調剤事故・過誤が発生しました。

調剤事故は、処方箋の読み間違い、薬剤の取り違え、計量ミスなどの複数の要因が関連して発生します。全国の薬局・病院では調剤過誤の防止を目的とした研修会の開催、医薬品の安全管理に関する業務手順書の整備などを行ってきましたが、調剤業務を人間が行っている限り、ミスを完全に無くすことはできません。

したがって、ミスが起こることを前提として、(1)仮に調剤過誤を起こしても、重大な医療事故につながることを防ぐ、(2)調剤過誤の発生自体を減少させる―ことを目的とした、薬局における安全文化の普及と実施に努めるのが現実的な対応でしょう。

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