調剤薬局への職場復帰をサポートする充実したプログラム

この十数年で薬剤師に占める女性の割合は、右肩上がりで高くなってきましたが、年代別で見てみると30歳代で低下するいわゆる「労働市場のM字現象」が見られます。これは結婚や出産を期に離職する女性薬剤師が少なくないことを如実に示していると言えるでしょう。

子育てが一段落つき、「そろそろ復職しよう」と思っても、休職期間中に進歩・複雑化した医療技術、相次ぐ新薬の上市など、書籍等による自己学習のみでは埋めることのできない知識や技術が壁となり、結局は再就職を断念してしまう方もたくさんいらっしゃいます。また、薬学的な知識や技術、マナーを再習得しない職場復帰は、医療ミスを誘発するリスクが高いため、安全な医療の実現を妨げてしまいます。

そこで近年注目されているのが、ブランクがある薬剤師の方を対象とした復職支援プログラムです。内容はプログラムによって多少の違いはあるものの、保険調剤のフロー・調剤報酬、処方箋の見方、薬歴記入(SOAP形式)、投薬・服薬指導、監査・疑義照会、PTP調剤、総合調剤、患者対応マナーなど、多岐にわたります。

これらの多くは大手の調剤薬局や医療系の人材紹介サービスが主催していますが、さらに本格的な取組みとしては、東京大学大学院薬学系研究科が、医療現場でのインシデント・アクシデント事例を教材として、一定期間、医療現場で不可欠な薬学的知識・技術・態度を習得するための教育プログラムを開始しています。

ご承知の通り、2012年は6年制大学卒の薬剤師の就職に伴って、薬剤師の数が圧倒的に増加しました。6年制薬剤師が転職市場に大きな影響をもたらすのは、彼らが社会人としてある程度の経験を積み、キャリアアップのために転職を考え始める2015~2016年あたりと予想されます。

大手調剤薬局チェーンでは、2012年に採用した最初の6年制薬剤師のレベルが「水準以上」と判断すれば、今後は採用の重点を中途から新人にシフトチェンジするでしょう。同様に2012年の段階では新卒者の採用を控えていた薬局も積極的な採用に乗り出すと思われます。結果として、中途採用の選考基準が高くなることが考えられます。

逆の見方をすれば、売り手市場の今が復職の最大のチャンスともいえます。「数年のブランクから復帰したいけど、医療の進歩についていけるか不安…」という方は、まずは復職支援プログラムに参加して、職場復帰への第一歩を踏み出してみましょう。

基礎的な知識や技術、マナーを再度取り戻したならば、いよいよ復職先を探すことになりますが、ブランクのある薬剤師を積極的に採用する施設とそうでない施設がありますので、事前の情報収集が大切です。一人で求職活動を行う場合、入手できる情報の量に限界がありますので、薬剤師に特化した人材紹介会社を利用してみるのも一つの方法です。

復職先選びのポイントですが、患者さんの数も多く、多岐にわたる診療科の処方箋を扱う総合病院の門前薬局は、求められる知識・スキル、体力のハードルが高いため、数年のブランクを経て、最初に選ぶ職場としてはちょっと難しいかもしれません。

逆に、内科以外(眼科や皮膚科、耳鼻科など)のクリニックや診療所の門前薬局などであれば、扱う医薬品の種類も少なくて済みますし、体力的な負担もそれほどではないため、オススメです。

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