勤務先として最も多いのは薬局で43.5%を占めています

登録販売者制度も市場に影響

厚生労働省が行った調査結果(グラフ参照)によると、薬剤師の勤務先として最も多いのは薬局となっており、全体の43.5%を占めています。以下、病院・診療所の18.8%、製薬企業の17.8%と続きます。他には、大学で研究者となったり、保健所などの行政機関に勤務している人もいます。

薬剤師の就職に、大きな影響を与えたのは、マツモトキヨシに代表されるドラッグストアの拡大です。薬学部を卒業した学生にとって、専門性が生かせる大手製薬会社や調剤薬局への就職が人気で、どちらかというとドラッグストアは敬遠される傾向にありました。

医薬品の販売には、薬剤師の存在が不可欠で、薬剤師の獲得合戦が激化し、学生の売り手市場がしばらく続く状態にありました。また、政府の規制改革方針もあり、私立薬科大学や薬学部の新設が相次ぎました。

そこに打撃を与えたのが、2009年に導入された「登録販売者制度」です。薬事法の改正で、副作用のリスクが低い大衆薬は、薬剤師だけでなく、登録販売者の資格を持つ店員が販売できるようになりました。

さらに、近年の経済的不況、医療費抑制政策、ジェネリック医薬品の普及、ドラッグストアの調剤市場参入による市場の奪い合い、処方箋の増加傾向の鈍化などの影響を受け、薬局数の増加は頭打ち状態が近づいてきていると言われています。医療費抑制の方向から病院内での雇用も、あまり見込めなくなるでしょう。

薬剤師の過剰時代がすぐそこにまで到来しています。厚生労働省の統計によると、薬剤師数は増え続けており、2008年末時点で約27万人がいます。10年後には約38万人に増えると予測されていますが、需要は27万人にとどまるとの推計もあります。

調剤薬局やドラッグストアなど薬剤師の勤務先には上場企業も数多く存在しており、地方での勤務となれば高額な薬剤師手当てや住宅手当てが保証されていますが、このような薬剤師の売り手市場であった時代は終焉を迎えつつあります。

将来のキャリアプランを明確に!

会社の規模の大小、給与や待遇は勤務先を選ぶうえで大切な要素ですが、これらのみを基準として就職・転職をすると、多くの場合、失敗します。すなわち、「薬剤師として自分が何をやりたいのか」という明確なキャリアプランがないため、待遇に魅かれて転職を繰り返し、結局中途半端なキャリアを送ってしまうのです。

薬剤師としての就職・転職先を選ぶ際の判断基準はいくつかありますが、まずは企業の経営理念が明確であるかをチェックしましょう。単なるお題目としての経営理念ではなく、それを具体化するための行動指針が定められ、企業トップから新人まで全員が同じ方向を向いているかが重要です。調剤薬局やドラッグストアなら店舗に赴いたり、働いている先輩がいるなら実際に話を聞くことでもヒントが得られるでしょう。

また、新人・中堅・幹部教育のシステムがどうなっているか、そのほか学会、地域の勉強会への出席などへのサポート体制がキチンと整っているかを比較し、5年後10年後の自分がどういう仕事をしているか思い描くことができるかということも重要です。

そして何より大切なのは、仕事の内容です。薬剤師として人の役にたっているという実感、やりがいが感じられるかどうか、自分がどの程度成長できるか実感できるかどうかは非常に大切な要素です。

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