都市部集中、地域偏在で需給バランスが崩れている地域も

6年制薬学教育が導入される前後から、「近い将来、薬剤師過剰時代がやってくる」と囁かれるようになりました。これは「国家試験に合格してしまえば一生安泰」という時代の終焉を意味しますが、どうやら遠くない将来、免許だけの薬剤師は必要とされない日はやってきそうな情勢です。

下の表は厚生労働省の「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」が2007年にまとめた報告書を参考にしたものです。数値を見ればわかりますが、実は数字の上では既に薬剤師の供給が需要を上回っており、2012年の時点で約8万5千人が供給過剰(無職者は含まない)となっており、2017年には10万人以上の供給過剰になるとしています。

年度 総薬剤師数 需要
2009年 338,515 244,329
2010年 337,587 247,851
2011年 334,600 251,581
2012年 339,646 255,248
2013年 347,158 258,966
2014年 354,976 261,469
2015年 362,799 262,451
2016年 370,034 263,417
2017年 376,856 264,401

ただ、調剤薬局やドラッグストアでは、薬剤師の都市部集中、地域偏在などで需給バランスが崩れているため、逆に薬剤師不足となっています。特に地方では慢性的な薬剤師不足が深刻となっており、新規出店や高齢化社会で需要が高まる在宅医療の取り組みなどに支障をきたしている状況があります。

さらに、6年制薬学教育への移行の影響で、2010年と2011年の2年間、薬学部の新卒者が出なかったため、不足感に拍車がかかった側面もあります。いずれにせよ、近い将来、薬剤師過剰になることは間違いありません。

特に考えなければならないのは、6年制教育で臨床薬学が重視された結果、他の職種には行きにくい状況が生まれていることです。調剤薬局やドラッグストアへの供給はさらに増えることが予想されます。

売り手市場から買い手市場への変換がそこまでやってきている今日、ただ免許を持っているだけの薬剤師は淘汰され、医薬品に関する高度な知識と、患者や医師とのコミュニケーションスキルの双方を備えた薬剤師が求められるようなるでしょう。

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