処方箋に保険法規上、薬学的な問題がないかを確認します

医師法施行規則の第21条、保険医療機関および保険医療養担当規則の第23条によって、処方箋の方式や記載すべき事項が定められており、医師が処方箋を発行する際には、様式第二号か、これに順ずる様式の処方箋に決められた記載を行う必要があります。

薬剤師は処方箋に保険法規上に問題がないか、処方記載方法に問題がないか、処方内容に薬学的な問題がないかをチェックする義務があります。それぞれの具体的な内容は以下の通りです。

保険法規上のチェック
①保険情報の欄…受付をした処方箋の保険情報の欄に、正しい保険者番号、被保険者証、被保険者手帳の記号、番号などが記載されているかどうかを確認にします。

公費負担医療制度を利用する場合、公費負担者番号と公費負担医療の受給者番号の確認が必要です。この場合、公費負担医療の趣旨から逸脱する薬剤の交付は禁じられています。2つ以上の公費負担がある場合は、最下段に記載されています。公費ごとに負担割合や優先公費が決まっているので、その確認も忘れずに。

②医療機関の欄…届出の医療機関の正式名称や所在地、電話番号、そして処方医の記名押印もしくは署名を確認します。

③交付年月日…処方箋の使用期限は発効日を含めて4日以内となっており、それを越えた処方箋は、受け取ることができません。何らかの理由で期限を延長する場合は期限を明記し、さらにその理由が備考欄に記載されていなければなりません。

④患者の欄…患者氏名(カタカナでもOK)を確認します。生年月日は年齢でも問題ありませんが、小児と高齢者は生年月日が必要な場合もあります。男女の区別、被保険者または被扶養者の区別の記載も確認が必要です。老人医療の場合、負担割合もチェックします。

処方記載方法のチェック
処方箋の処方の欄に調剤する薬品名・分量・用法・用量などが記載されていますので、正しく書かれているかを確認します。訂正抹消が行われている場合、2本線を引いてあるだけでなく、訂正印(処方医の印)が奈捺印されているかを確認します。追加処方された場合にも、その内容の横に処方医の捺印が必要です。

①薬品名…処方の欄に記入する薬品名は、本来は薬価収載されていれば、商品名、局方名、一般名(成分名)のいずれでも構いませんが、一般的には商品名が記載されています。一般名で書かれていて複数の商品が薬価収載されている場合は、薬局側で薬品を選択します。

②投与日数…以前に比べて投与期間の縛りは少なくなりましたが、14日制限があるもの(麻薬・向精神薬・発売1年以内の新薬)、投与日数に制限があるもの(添付文書などに記載がある薬品)などには注意が必要です。

ただし、年末年始・連休などや海外旅行などの特殊な事情がある場合は、必要最小限の範囲において、投与日数の制限を越えて処方することが可能な場合もあります。

③備考欄…医師からの調剤に対しての指示(一包化など)や後発医薬品への変更の是非が記載されています。薬剤師が処方内容についての疑義照会を行った場合、その内容と結果もこの備考欄に記入します。

処方内容の薬学的チェック
用法・用量、禁忌薬、相互作用、副作用、疾患による禁忌などに関する問題がないかを確認することは、薬剤師として医薬品の安全かつ適正な使用において非常に重要な業務です。

このチェックは処方箋の受付から始まり、最終的に薬剤を患者さんに交付するまでの一連の流れの中で常に確認し、疑問点がある場合には処方医に疑義問い合わせをしなければなりません。

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