5つの領域で活躍する専門薬剤師の役割と認定取得のプロセス

医療の急速な進歩によって、診療現場は医師や看護師、薬剤師、管理栄養士など、さまざまな種類のスタッフが医療チームを組み、連携して患者の治療にあたっています。

医薬品という側面から見ると、外資系製薬企業の参入もあり医療用医薬品の数は、約2万品目に到達しようとしています。効果が強力な医薬品が登場する一方で、副作用も重篤となり、使い方も複雑になっていきました。

食物も含めた「薬の相互作用」「重大な副作用」「お薬手帳」「薬剤情報提供」「ハイリスク薬」など、患者への情報提供も大きく変貌しています。

医薬品の進歩も目覚しく、遺伝子組み換え型製剤やがん細胞だけを狙い撃ちする分子標的薬が新たに加わり、使い方も非常に厳密になってきました。

したがって、医療チームにおいて薬剤師には今まで以上に「薬物治療のエキスパート」としての高い専門性が求められるようになっています。

こうした事情を背景に、専門的な知識とスキルを有した薬剤師を客観的に認定し、医師の負担を軽減することで、安全かつ質の高い治療と薬物療法を提供しようと誕生したのが「専門薬剤師」の制度です。

専門薬剤師は、以下に挙げる各専門領域における薬物治療に熟練するだけでなく、その領域の臨床的、教育的な指導者としての役割も期待されています。

日本病院薬剤師会が認定する専門薬剤は現在、①抗がん剤などの専門知識を有する「がん専門薬剤師」、②精神疾患の薬物療法に精通した「精神科専門薬剤師」、③HIV感染症に対する薬物療法のプロフェッショナルである「HIV感染症専門薬剤師」、④医療機関における感染症の治療や予防で重要な役割を果たす「感染制御専門薬剤師」、⑤母子双方の健康を考慮した産前・産後の薬物療法を担う「妊婦・授乳婦専門薬剤師」の5つの領域で活躍しています。

専門薬剤師になるためには、まず、その専門領域の認定薬剤師の認定が必要となります。この認定を受けるためには、実務経験や講習などの条件を満たした人だけが受験できる認定試験に合格しなければなりません。さらに専門領域における研究業績などが加われば、はれて専門薬剤師として認定されます。

専門薬剤師になった後も、5年ごとに資格更新が必要になります。各領域における資格取得については、先述の日本病院薬剤師会のホームページで確認してください。

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