キャリアップ・復職を成功させるために

求人トレンド(平均年収・転職時期ほか)
6年制薬学部、登録販売士制度などの影響により、今後の転職市場は現在の「売り手」から「買い手」市場になることが予想されます。転職を成功させるためには、病院・調剤薬局・ドラッグストア・製薬メーカーのニーズ、平均年収、転職活動をスタートさせる時期などをしっかり把握することが大切です。

薬剤師の過剰時代が到来する!?
地域偏在によって地方での人材不足感が強いものの、数字の上では既に供給過剰となっています。免許を持っていれば一生安泰という時代は終焉を迎えつつあり、自己研鑽を怠らず、スキルを磨く人材だけが優遇されるようになるでしょう。

勤務先のデータ(厚生労働省調査)
勤務先として最も多いのは薬局で半数を占めています。以下は病院、製薬企業と続きます。他には、大学で研究者となったり、保健所などの行政機関に勤務している人もいます。

面接で採用・不採用を分けるポイント
以前のように経験とスキルがあれば即採用ということはなく、近年は面接でコミュニケーション能力をしっかりと見る傾向が強くなっています。また、退職理由を問われて、勤務先の不満を口にするのはNGです。ネガティブな理由もポジティブなものに転換して、転職動機に結びつけることができるかどうかがポイント。

薬剤師に必要なコミュニケーションスキル
臨床薬学を通じて患者ケアに貢献する実践的な人材が求められるようになった近年、医薬品の仕組みや作用機序といった知識を持つだけでは十分ではなく、コミュニケーションスキルが必須となっています。

調剤薬局の復職支援プログラム
出産や育児で職場を離れた薬剤師の方は、いざ職場復帰を希望しても、ブランクが不安になるケースも少なくありません。大手の調剤薬局チェーンや人材紹介会社では、処方箋の見方、薬歴記入、投薬・服薬指導、疑義照会などを再習得するための復職支援プログラムやセミナーを開催していますので、有効活用しましょう。

専門薬剤師の種類と役割
がん、精神科、HIV感染症など5つの領域における薬物治療のエキスパートを育成することにより、医療現場で求められる高度な医療に対応しようと生まれた制度です。認定取得後も5年後との更新が求められる実践的な資格です。

転職サイトを有効活用
一人での転職活動は精神的にも体力的にもハードなうえ、収集できる求人情報の質や量に限界があります。人材紹介サイトを活用すれば、全国の病院・薬局・製薬会社の求人から、あなたの希望にあった案件を紹介してくれるだけでなく、面接のアドバイス・同行などさまざまなサポートを無料で受けることができます。

退職手続きの手順
飛ぶ鳥跡を濁さず-。一般企業と比較して、医療の世界は広くないため、現在の職場の人と再び仕事をする日が来るかもしれません。わだかまりなく、スムーズに新しい勤務先で仕事をするためにも、上司への報告、引継ぎ、退職の挨拶等の手続きはきちんと行いましょう。

資格を活かせる人気の転職先

調剤薬局
大型チェーンがM&A(合併・吸収)で拡大を続けているため、求人は現在も活発です。大手の調剤薬局の場合、労働条件や福利厚生の充実にくわえ、「調剤未経験・ブランクOK」など研修体制をアピールする求人も多く、女性にとっては働きやすい職場といえるでしょう。

OTC販売(ドラッグストア)
多くのドラッグストアでは、「薬剤師」=「店長」ですので、シフト調整、売上やコスの管理、経営に直接タッチする業務が多いのが特徴です。また、セルフメディケーションへの関心の高まりを受け、お客さんと直接触れ合えるドラッグストアを希望する中高年の方が増えてきています。

病院薬剤師
調剤以外にも、製剤や医薬品管理、薬剤管理指導など幅広い業務を行うため、専門性を高めることでキャリアアップにつながるとして依然として人気の高い転職先です。ただ、定期採用をする病院は減少傾向にあるため、求人数が少なく、日頃から情報のアンテナを張っておくことが大切です。

入院調剤室での1日
医師が発行した処方に従って薬剤の調整・準備を行います。当直の場合、処方箋の確認か・調剤・監査の全てを一人で行う必要があるため、ベテランでも非常に緊張します。

CRA(臨床開発モニター)
治験がGCPを遵守して実施されているかをモニターする役割を担うCRA、は医学的な知識や経験が不可欠ですので、以下のCRC(治験コーディネーター)と同様に、薬剤師・看護師・MR経験者のキャリアチェンジの有力な選択肢の一つとして注目されています。

CRC(治験コーディネーター)
治験の実施機関の立場から、医師・スタッフへの伝達事項の報告、被験者へのインフォームド・コンセントの説明等を行います。医療施設内で仕事をすることが多く、医師や被験者と接する機会も多いので、高いコミュニケーション能力が求められます。

CRO(開発業務支援機関)
治験関連業務の外注率が高い外資系の製薬会社の日本進出に合わせて、急速に成長してきたCRO。薬剤師が持つ医薬品に関する専門知識やコミュニケーション能力は、治験に関するさまざまな業務で高く評価される傾向にあります。

SMO(治験施設支援機関)
医療機関の立場から治験業務をサポートするSMOは比較的新しい業界のため、市場規模はそれほど大きくありませんが、CROと同様に高い成長率を示しており、今後も成長が見込まれます。

PMS(市販後調査)
新薬の発売後にその有効性と安全性に関する調査データを収集し、公的機関への報告書を作成します。医薬品に関する専門知識はもちろん、海外副作用報告を取り扱う機会も多いため、近年はTOEICなどの英語力の裏づけを求める求人も増えています。

MR(医薬情報担当者)
製薬会社を代表して医師をはじめとする医療関係者と面談を行い、自社製品の有効性・安全性などに関する情報の提供・収集を行うスペシャリストです。武田、エーザイなどの大手製薬会社のMRは、30代でも平均年収が1,000万円を超えています。

在宅医療
患者さんの居宅を訪問して服薬状況の確認と改善指導、薬剤の保管状況の指導、副作用や相互作用の確認などを行います。医療制度が改正されるなか、在宅医療は重要な位置付けになっています。

緩和医療
終末期における各種がんの合併症や症状に関する専門性は勿論、患者や医療者(医師、看護師、PT、OT)との円滑なコミュニケーション能力を身につけることがチームで信頼される薬剤師の条件となります。

薬局における業務内容と注意点

薬局の調剤業務
医薬品の取り違え、重複投薬、相互作用の恐れ等を防ぐために、処方箋受付時の監査、薬歴・お薬手帳との照合、調製後の監査、投薬時と4段階のチェック体制が構築されています。

分割調剤のメリット
高齢者の慢性疾患が増加し、処方箋に記載される投与日数が長期化するなか、保管や服薬上問題が生じそうな場合に有効なのが、医薬品を複数回に分けて患者さんに手渡す分割調剤です。アメリカのリフィル処方箋制度との違いも解説しています。

医師と薬剤師による医薬分業
医師は患者を診察した際に、薬による治療が必要と判断した場合は、適正な薬を選んで処方し、薬剤師がその薬が適正であるかどうかの鑑査を行うことで、より適正で安全な処方と調剤を行なうことができます。

処方箋のチェック項目
近年は、主に向精神薬(リタリン、ハルシオン、レキソタン、ベンザリンなど)の詐取を目的として、処方日数や内容の改竄、複写して処方箋を何度も使用するなどのトラブルが見られるようになっているので、処方箋をチェックする際にはこれまで以上の注意が必要です。

薬歴の活用方法
患者さんごとの個人情報(住所・連絡先・保険情報)、医療情報(アレルギーの有無や副作用歴)、薬剤服用歴(処方内容)などの記録簿である薬歴の適切な活用により、質の高い服薬指導を行えるようになります。

服薬指導で薬物療法の効果を高める
服薬指導の際には、患者さんの様子を見ながら、指導内容や時間に配慮し、処方医師の処方意図を十分配慮し、できるだけわかりやすい言葉で説明します。副作用や併用薬による相互作用などの確認は毎回行うようにします。

服薬状況を改善する調剤薬局の取り組み
薬の種類が多く、飲み忘れが頻繁に起きる高齢者の服薬状況を改善するために調剤薬局では医薬品の一包化をはじめ、嚥下障害のある方へに剤形を変更するなどの取り組みを行っています。

疑義照会の問い合わせ内容
複数の病院で診察を受ける高齢者が増えているなか、安全な薬物治療を行うためには、用法・用量に疑問が生じたり、禁忌薬、相互作用が考えられる場合、医師に疑義照会をして疑問をした後でないと調剤は行えません。

お薬手帳で服用記録を管理
薬の服用状況を記載してあるため、薬局で新しい薬を出される際に、重複服用、相互作用などをチェックすることができます。旅行での病気、災害時の避難、救急搬送された際など、普段服用している薬を医師に正確に伝えられます。

患者が薬局を選ぶ理由
年間で7億4000万枚の処方箋(国民一人あたり5.8枚)が発行されているにもかかわらず、患者の多くは「医療機関に近い」という理由で調剤を受ける薬局を選んでいます。かかりつけ薬局のメリットがまだまだ理解されていないことがわかります。

薬局で使用される機器
散剤の計量に重宝する電子天秤、患者負担と保険者負担の医療費を計算し、在庫管理システムなども搭載したレセコン、散剤、錠剤などを自動で分封する分包機など、薬局では調剤過誤防止、患者サービスの向上のためにさまざまなタイプの機器が使用されています。

プライマリ・ケアの実践
薬局薬剤師には、専門領域である薬学は勿論、生活者の健康管理、病気の予防、介護や福祉などの幅広い知識と経験を兼ね備えた「ゼネラリスト」の役割も求められる時代が到来しようとしています。

iPhone用無料アプリ「添付文書Lite」
国内で使用されている全医薬品の添付文書をiPhone、iPadで閲覧できる医療関係者必携の無料アプリ「添付文書 Lite」。医薬品医療機器総合機構のデータベースから情報を取得していますので、情報の信憑性も抜群です。

抗がん剤の勉強・服薬指導に有用なサイト
がんの化学療法について苦手としている若手薬剤師にオススメの勉強法として、日本がん治療学会や自治医科大学図書館が提供しているeラーニングやビデオオンデマンド・サービスの活用が挙げられます。また臨床現場ではがんの補完代替医療について患者さんから質問される機会が多いため、併せて代替医療も勉強することが求められます。

研修充実!未経験でも活躍できる調剤薬局

アインファーマシーズ (アイン薬局)
業界トップの調剤報酬と売上高を誇る東証一部上場企業。調剤過誤防止のため最新設備やシステムを積極的に導入。社員の7割を占める女性を支援するため、結婚・出産後も安心して働ける柔軟な勤務制度を整備したり、育児休暇後の円滑な復帰を目的とした復職セミナーなども開いています。

日本調剤
調剤薬局企業としては唯一、北海道から沖縄県まで全都道府県を網羅した全国出店展開を達成。新卒者・中途採用の充実した研修だけでなく、実際の調剤業務が学べる薬学生向けのインターンシップも全国の店舗、支店、本社で実施しています。

クオール
立地条件に優れたコンビニの利便性と薬局の専門性を融合させた「コンビニ+調剤」店舗を開発するなど、新しい業態を続々と展開。生活習慣病や消化器系疾患などの服薬指導に精通した人材を育成するために、独自の認定制度も設けています。

クラフト (さくら薬局)
現場で働くスタッフの声を店舗運営に反映する体制が整っています。調剤過誤を防止するため、ピッキングチェックシステムや、音声対応の電子薬歴システムなどを全店舗に導入しています。

ココカラファイン
セイジョー、ジップドラッグ、セガミメディクス、ライフォートを傘下に置き拡大を続けるココカラファイン。次世代ドラッグストアのフォーマットを確立するため、調剤分野にも積極的に参入しています。

スギホールディングス (スギ薬局)
ファーマシー事業とドラッグストア事業を中心に成長拡大を続けている同グループの売上高の多くを占めているのが、調剤事業が右肩上がりのスギ薬局です。OTC薬・化粧品のカウンセリング販売のほか、健康相談、在宅医療も担っています。

総合メディカル
在宅訪問専門の店舗を開設し、高齢の患者が安心して薬を服用できるような創意工夫に取り組んだり、主治医やケアマネとの連携を実践するなど、在宅医療に積極的に取り組む調剤薬局事業を展開しています。

たんぽぽ薬局
社員の8割を占める女性が働きやすい環境を整備するため、勤務地選択制度、育児休暇制度(最長2年間)、短時間勤務時間制度などを導入。その結果、他社に先駆けて「子育てサポート企業」の認定を受けることになりました。

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