自社の医薬品に関する情報伝達・収集を行うスペシャリスト

製薬会社を代表して医師・薬剤師などの医療関係者と面談をして、自社製品の適正な使用と普及のために、医薬品の有効性・安全性などに関する情報の提供、収集を行うスペシャリストです。医師や薬剤師、MS(営業)、開発部門担当者との情報交換が主な業務となりますが、それぞれと対等に会話ができる豊富な医療知識が要求されますので、薬剤師に適した転職先といえます。

医師には、自社製品の医学的知識や薬学的知識に基づく情報提供や治療についての根拠となる資料の提供などを行います。薬剤師に対しても同様で、薬学的な情報の提供や資料の提供を行います。この情報提供が適正に行われていないと、患者さんの治療に支障をきたすだけでなく、患者さんを危険にさらすことになります。

さらに、医療現場で得た医薬品の効果や副作用などについての情報を、自社の研究開発部門にフィードバックするのもMRの仕事です。それに伴う業務として、医師と研究開発部門の橋渡しとなり、講演会や研究会を企画、主催することもあります。

MRは開業医担当、大学病院担当、中小病院担当というように、医療施設ごとに担当者が決められています。また、担当するエリアもそれぞれに決められており、例えば東京都新宿区内の開業医担当、さいたま市内の中小病院担当という具合です。

仕事内容は、自社の医薬品の情報提供ということに変わりはありませんが、担当する医療施設によって、仕事の進め方、方法は違っています。開業担当医であれば、じっくり話をすることも可能ですが、大学病院担当の場合は、ほんの数分の立ち話で情報提供をしていくことも多くなります。

MRは、大手製薬会社勤務の場合で平均年収が800~1,100万円と他業種の大手企業と比較しても高めですが、その代わり日常の業務も多忙です。病院担当では1日に20~40人の医師と面会し、開業医担当では10件以上の医師を訪問するのが一般的です。

製薬会社の多くは、MR認定センター(旧:医療情報担当教育センター)が行う「MR認定試験」を自社のMRに受験させます。この試験では、疾病と治療・薬理学・医薬概論・製造販売後調査(PMS)などについての知識が問われ、合格するとMR認定証を取得できます。

合格率は8割で、有効期限は5年間ですが、期限終了までに社内で200時間以上の研修を受ければ更新されます。認定証がなくてもMRにはなれますが、認定証がないと訪問できない医療機関が増えていることから、8割以上のMRが取得しています。

MRには自社製品全てを担当する「ジェネラル型」と、がんや中枢神経系など専門性の高い分野の製品に特化して担当する「専門・領域型」があります。近年はがんを専門領域とする企業が目立っており、売上の多くをがん製品が占めている中外製薬は550人を擁しています。

外資系の製薬企業の多くは、MRの専門領域制を敷いており、日本イーライリリーは、MRがオンコロジー(がん)、糖尿病・成長ホルモン、バイオ医薬品、筋骨格の4つの事業本部に所属するスタイルをとっています。また、ファイザーはMRの自己啓発を促進するために、領域別認定制度も設置しています。

MRのモチベーションを高めることを目的に、自社で独自の資格制度を導入している企業もあります。例えば、アステラス製薬はマネージャー業務を志向しない人のために「プロフェッショナルMR」を用意し、MR一筋で仕事を続けられるようになっています。

Copyright © 2018 薬剤師の転職と再就職ガイド· All Rights Reserved·